院長よりごあいさつ
個々の臓器だけでなく、からだ全体にまで洞察を深める動物医療をめざして
東洋医学や漢方治療などの経験医学には、臨床例は歴史的に多いが、それを裏付ける証拠、物質がよく分かっていない、という懐疑があります。一方、西洋医学には、理論的だが、部分にとらわれすぎていて、全体として病気を見る目に乏しいという批判もあります。ハルペッツクリニックは、経験医学として発展してきた漢方医療も、分析と理論を積み重ねてきた西洋医学もどちらにも長所があり、その良いところを併用して、全体的に動物を治療するのが、最良の治療に対する態度だと考えています。
しかし、現在の大学での獣医学教育では、西洋医学のみしか教えておらず、東洋医学(漢方治療)を深く学ぶことはできません。中国で学ぶか、中国からきた先生に教えてもらうしかないのが現状です。私は、幸い、中国と日本にいる二人の中国人の師匠に師事することができ、西洋医学とは全く切り口のちがう、漢方治療の奥深さをしるにつれ、さらなる習得をめざし、日々精進しているところです。西洋医学のみで治らず、苦しんでいる犬や猫を、漢方治療により助ける役割があると考え、全体的に動物を診る医療を掲げて、ハルペッツクリニックを運営しています。(もちろん病気の症状によっては、西洋医学のほうがよい治療だと思えるものがたくさんありますので、まずは、西洋医学的な治療を第一に考えることが多いです。)
はたして全体的に動物を診る医療とは何なのか?
生体の防御(免疫)反応や自律神経、内分泌機能の働きは、科学の理論では、まだ詳細を説明できるにいたっていませんが、その存在は科学的にも認められています。病気を治療する過程で、西洋医学的に治療できる範囲をこえた、免疫系、神経系、内分泌系のからみあう領域に、病気の原因があると洞察できることも多く、そういった時に、使える医療が経験医学としての漢方医療の中に見出せることが多いのです。目に見える(分析できる)部分の病気だけでなく、その裏にある神経や精神の領域にまで洞察をした上で、という意味での、全体的に診る医療を、西洋薬だけでなく、漢方薬も駆使して行っていこうというのが、ハルペッツクリニックの治療方針です。
儚い寿命のペットたちが、一日でも長く、楽しく美しい思い出を飼い主様とつくれるよう、お力添えをさせていただきたいと思います。
ハルペッツクリニック愛知 院長
林 晴敏 農学博士・獣医師
1994年東京大学獣医学科卒、獣医師免許取得
1997年同大学院にて農学博士号取得
1997年より2002年まで米国ペンシルベニア大学およびフォックスチェイス癌センターにて癌研究
2002年より人間の漢方薬研究および獣医臨床経験
2007年愛知県春日井市にハルペッツクリニック(ハルペッツクリニック愛知)をオープン
2011年東京・西麻布にハルペッツクリニック東京をオープン